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スウェーデンの山岳トレッキング

 スウェーデンでは、よく整備されたトレッキングルートが沢山ある(Kungsleden、Padjelantaleden、Nordkalottledenなど)。特に有名なのが、440kmもの長大なトレッキングコースで王様の散歩道と呼ばれるKungsleden(King of Trails)だ。その中でもAbisko-Nikkaluoktaはアクセスが良く、またスウェーデン最高峰ケブネカイセの登山口もあり人気が高い。
 主要なトレッキングコースは、道標・山小屋がよく整備されている。時に道標としてバツ印の杭が打ってあることがあり、景観をそこねる道標だなあと思っていたのだか、冬に行ってみて納得。これは冬用の道標でもあった。

 ピークを目指すのではなく、景色を楽しむためのコースとなっている。コースは谷に設けられていることが多く起伏が少ない。ピークハンター的な日本の登山道を想像しているとそのギャップに驚く。まあ日本とスウェーデンでは山の地形が違いすぎるので比較するのは不適切かもしれないが。谷に設けられているがゆえに、途中数々の川や湖が目を楽しませてくれる。

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 山々を遠くに眺めるだけのメジャーコースに物足りなくなったら、脇道のマイナーコースに入る。メジャーコースを外れると道標は無く、地図を頼りにときにはぬかるみ、ときはに瓦礫地帯を進む。
 スウェーデンは湖沼の国と言われるが、とにかく湿地が多い。時に靴を濡らさずには歩けないところもある。なおメジャーコースについては湿地には木道があるので快適に歩ける。

山小屋

 主要なトレッキングコースには、STF (Svenska Turistforeningen or Swedish Touring Association) によって運営管理されている山岳ステーションや山小屋が、10-30kmおきに配置されている。STF会員の宿泊費は260 Krで非会員はプラス100kr必要だ(2010年の情報)。なおSTF年会費は299Krなので、3泊以上するなら会員になったほうがお得だ。

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 小屋は自炊のみだが、食器、鍋、ガスは山小屋に整備されている。また簡単な食品(ラーメン、お菓子、缶詰の食品など)は売っている(当然街よりかなり高い)。水は川より汲む。たいてい山小屋は川沿いにあり、川の水が飲める。
 定員は30名くらいで一人がベット1つを広々と使える。ベッドには枕と布団があり、寒がりでなければシュラフを持参する必要は無い。ただしシーツは無い。たまに裸で寝てる人もいるので気になる人はシュラフカバーなどをシーツ変わりに利用すると良いだろう。たまに30名を超えることもあるようだが、そのときは小屋に常備してあるマットレスを床に敷いて対応する。登山シーズンには大混雑する日本の山小屋と違い大変快適だ。


 なお、私の宿泊したいくつかの山小屋にはカーテンは無かった。明るいと眠れない人はアイマスクが必要だろう。というのも北に位置するスウェーデンの夏の日照時間は長い。例えばスウェーデン北部のトレッキング起点の町として有名なアビスコは北緯68度。トレッキングのベストシーズンである7-8月の日照時間は相当長い。

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 トレッキングの起点となる場所には山岳ステーションがある。山小屋のデラックス版だ。宿泊費は相部屋素泊まりで340-450 Kr(2010年の情報)。個室もあるが2-3倍する。レストランや売店もあり、登山装備や行動食をそろえることもできる。右の写真はケブネカイセ山岳ステーション。

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 中にはサウナがある山小屋がある。小屋が川沿いに建てられているがゆえの恩恵だ。暑くなったら横の川で涼む(女性でも恥ずかしげもなく・・・)

氷河

 スウェーデンの山岳トレッキングの醍醐味の1つは氷河だろうか。氷河の真横を歩くコースがあり、その猛々しさと美しさを満喫できる(ただし主要トレッキングルート外なので、多少歩きにくいところもある)。

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楽に氷河を楽しみたいと思ったら、Tarfala山小屋へ。ここは3方が氷河に囲まれ圧巻だ。山小屋の位置については散策記Abisko-Nikkaluoktaのページの地図をどうぞ。

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 氷河といえば、スウェーデンは氷期に厚い氷床に覆われていた。私がスウェーデンにいたころ住んでいた町ウメオは毎年土地が隆起しているそうだ。というのも氷期時代の氷河の融解によって土地にかかる重力が減っているためだ。その現象が地球上で最も顕著に現れているスウェーデンのヘーガ・クステンとフィンランドのクヴァルケン群島は世界遺産にもなっている。年間8-8.5mmの上昇で、毎年1km2ほどの土地が現れるそうだ。氷河時代の影響が今もそれほど現れているとは驚きだ。
 長い地球の営みを考えると、今、見ている自然の変化をどれほど理解できるのだろうか、と途方にくれてしまう。写真は博物館の展示を撮影したもの。クヴァルケン群島の1978-2006年の変化の様子。