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シオガマギクのポリネーター

参照論文
CHUN-FENG YANG, ROBERT W. GITURU & YOU-HAO GUO (2007)
Biological Journal of the Linnean Society,90, 37-48
Reproductive isolation of two sympatric louseworts,Pedicularis rhinanthoides and Pedicularis longiflora (Orobanchaceae): how does the same pollinator type avoid interspecific pollen transfer?

中国にはシオガマギク属の種が350種ほど知られていて、同所的に生育し、同時期に花を咲かせる種も多い.そこでPedicularis rhinanthoidesPedicularis longifloraを材料に、種間交雑を避ける仕組みを調べた論文だ.この2種は花の姿形がかなり違う.だから同時に花を咲かせていても、ポリネーターであるマルハナバチは両者を識別して訪花している.種間交雑を避ける仕組みだったら、もっと花が似ている種で調べたほうが面白いと思うのだが・・・.一方、P. longifloraのポリネーターがマルハナバチだと分かったのは収穫だった.私はこの種の長い花筒にみあう長い口をもつポリネーターがいるのか不思議だった.マルハナバチの口の長さでは短すぎると思っていた.しかし、花筒の付け根に届くほど長い口は必要ないのだろう.というのも、シオガマギクの雌しべ(柱頭)は、花の嘴のような先から出ているし、雄しべは花筒の途中についているからだ.下図はP. rhinanthoidesのスケッチ.

でも、なぜこんなに長い花筒が進化してきたのだろう?口の長いポリネーターの存在(例えば蛾や蝶)が選択圧になったのでは?という疑問は消せない.やはり同じ疑問を持つ人はいるらしい.夜に花筒が長い種に蛾が訪花していないか調べた論文があった.結果は、夜に昆虫が訪花できないようにメッシュで覆っても種子生産に影響が無かったそうだ.ここでもポリネーターはマルハナバチとされている.なお、花筒が長い種は蜜を出さないそうだ.
Huang SQ, Fenster CB (2007)
INTERNATIONAL JOURNAL OF PLANT SCIENCES 168: 325-331
Absence of long-proboscid pollinators for long-corolla-tubed Himalayan Pedicularis species: Implications for the evolution of corolla length